乳がんの転移は命の危険につながる

乳がんが転移を始めてしまうと、治療を行っても治癒できなくなることが多くなります。

転移と末期

複数の臓器に乳がんが転移してしまうと、治療を行っても完治させることは難しくなります。たとえ原発巣の手術を行ったとしても、他の部位に癌が残ることとなるため、根本的な解決にはならないためです。そのため、全身療法である抗がん剤やホルモン療法を用いる例もありますが、それだけで完治を果たすことは難しいケースも少なくありません。

治療の結果として、治癒を目指すのか、それとも余命を長く保つことはQOL（生活の質）を向上させることに主眼を置くかによって、成果の捉え方も異なってきます。一般に、初期症状のうちは治癒を目指せるものの、末期に近づいてしまうと治療は困難になる傾向があります。予後に再発するリスクも高まり、思うような結果を得られない可能性が増していきます。

このことは、病期（ステージ）別に5年生存率を見ると明らかで、Ⅰ期からⅣ期に向かっていくにつれ、段階的に生存率は下がっていきます。すなわち、現代の医学の水準では、末期の患者さんを救うのは難しいということなのです。主な治療法は手術のほかに放射線療法、抗がん剤による化学療法、ホルモン療法がありますが、それぞれの方法に限界があり、万能なものではないのです。

乳がんが転移した部位によって、原発巣とは異なる症状を呈する場合があります。転移が多く見られる部位としては、リンパ節や骨、肺、脳がありますが、骨の場合なら病的骨折や骨の痛みを引き起こすことがあり、肺なら咳や動悸、息苦しさが症状として現われます。それぞれの部位で異なる症状が出ますので、それに対する治療法も異なり、肺なら咳止めや鎮痛剤、酸素療法を行います。

自己診断や定期検診によって、早期発見をすることができれば、深刻な転移の前に治療を開始できることが多くなります。そのため、女性の方は乳がんを身近な病気として考え、普段から気をつけておくことが末期になることを予防することにつながります。

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